摂食障害(拒食症、過食症、むちゃ食い症候群に大別)は、思春期の女性に好発する精神疾患です。近年は、小学生までの低年齢化と既婚症例を 含めた高年齢化、男性症例の増加が医療現場から指摘されています。
摂食障害は精神疾患の中でも死亡率が高く(7%)、疾患によって人生の質が著しく損なわれることは憂慮すべき課題です。また、家庭と社会の未来を担う 世代に好発する疾患であることから、社会的・経済的な損失も見込まれます。
しかしながら日本では治療法が確立されておらず、公的な専門治療機関が皆無である現状から、患者は孤立した状況にあります。平成 26 年度、厚生労 働省が摂食障害治療センター構想を立ち上げて予算化しましたが、疾患への理解不足から問題は山積しています。
そこで、アメリカ・カリフォルニア大学ロサンジェルス校(以下 UCLA)メディカルセンター思春期専門精神科病棟に看護師として勤務する安田 真佐枝は、 日本の摂食障害治療・支援環境を向上させるために「摂食障害ホープジャパン」を立ち上げました。
安田が勤務する UCLA では 30 年以上前から摂食障害専門病棟が開設されており、多職種の医療チームによる治療プログラムが実績を挙げています。ま たアメリカでは症状や治療の段階別に利用できる外来や滞在型治療施設などの専門治療施設が数多く存在し、有効な治療プログラムが提供されています。
「摂食障害ホープジャパン」では、日米正看護師である代表・安田が、多職種医療チームの重要メンバーとしてアメリカで摂食障害治療に長年携わって きた経験を生かし、2020 年までに日本でも摂食障害専門治療施設を開設することを目指しています。
現在は、アメリカの医療現場を視察するスタディツアーや、摂食障害に関する本の翻訳と出版、ご本人・ご家族・医療関係者向けの掲示板の運営、病 院での事例検討会や家族会での講演などを実施。今後は、アメリカでの医療研修、アメリカの治療専門家を日本に招聘して講演会や研修会なども予定し ています。
「摂食障害ホープジャパン」 は、摂食障害に苦しむご本人の皆様、ご家族の皆様、そして医療・支援関係者の皆様の力になれるよう、日本の摂食障害 治療・支援環境の向上に向けて活動してまいりますので、ご理解とご支援のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
摂食障害ホープジャパン活動内容
2014年8月
摂食障害ホープジャパン設立
2014年8月16日~22日
「第1回UCLAアメリカ摂食障害スタディツアー」を実施。
アメリカ西海岸、ロサンジェルスのカリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)において、摂食障害病棟に関わる専門職種のスタッフからの講義、摂食障害治療の中間施設となるTheBellaVita、CENTERFORDISCOVERY、MonteNidoを視察する。
日本からは、摂食障害治療に取り組む精神科医師(1名)、臨床心理士(6名)、精神看護学大学教授(1名)、養護教諭(1名)、管理栄養士(学生含む2名)、薬学部学生(1名)、通訳(1名)が参加。
2015年3月23日
アメリカでベストセラーを記録した摂食障害回復者の手記『Life Without ED』を翻訳。星和書店より発売。
2015年9月19日~26日
「第2回UCLAアメリカ摂食障害スタディツアー」を実施。
2015年末
アメリカにおける摂食障害治療施設のパイオニアMonteNido創設者の治療サポートブック「8Keysto Recoveryfroman Eating Disorder」を翻訳。星和書店より発売
2018年8月
「過食症;食べても食べても食べたくて」星和書店より、翻訳出版
2019年1月
ハワイアイポノ摂食障害スタディツアー開催
2019年 夏
摂食障害から回復するための8つの秘訣のワークブックを出版予定